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矢倉3七銀戦法;主流の周辺③ [矢倉▲3七銀]

今回は△9四歩▲1五歩の交換を入れてからの△7三銀(38手目図)。駒がぶつかる位置にまで歩を伸ばすことが出来たのだから、この交換は当然先手有利だろうと思ってしまいがちだが、実はそうでもないようである。

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端の交換の影響はどこにあるのか・・・

端の交換が入ったこの形では、後手は棒銀に出るのが有力(▲9六歩△8四銀と追い返された直後に△9五歩が残る)である。図以下▲4六銀△4五歩と進んで40手目図。

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単に△4五歩が新しい。△7五歩▲同歩△4五歩も勿論ある。

単に△4五歩。上述の通り、△7五歩▲同歩△4五歩もあるのだが、これは前の記事で述べた展開となり、冒頭で述べた、端の交換の分先手が得だと思う。

△4五歩に対する先手の応手は▲6五歩の反発か、無難(?)な▲3七銀か・・・

先ずは▲6五歩と反発する手から。▲6五歩△5三角となったところがまた分岐点。

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△5三角に次がまた分岐点。▲4五銀か、▲5七銀か。

強気な▲4五銀から。以下△6四歩▲3七桂△6五歩▲1四歩△同歩▲1三歩△同香▲2五桂△4四歩(52手目図)と進んで先手やや息切れ。

BANT004.jpg

▲4五銀は無理。

さすがに▲4五銀は無理気味。そこで▲5七銀と引く。以下△6四歩▲3七桂△6五歩▲4五桂△4二角▲3三桂成△同角▲3五歩△同歩▲3四歩△同金▲2五銀△4四金(56手目図)となってこちらも先手無理気味。

BANT005.jpg

これも先手無理気味。

▲5七銀と引く手も芳しくない結果に。図以下▲4六銀と出るくらいだが、△8六歩▲同歩△8五歩▲同歩△9三桂(62手目図)と桂を活用され、やはり先手苦しいか。

BANT006.jpg

結局▲6五歩の反発がよくないということになるか。

△4五歩に対する▲6五歩の反発はよくないようだ。そこで▲3七銀(41手目図)と単に引く。

BANT003.jpg

▲6五歩が駄目だったのでおとなしく▲3七銀。

銀を引かせ、いよいよ後手の銀が始動する。図以下△8四銀▲2五歩△9五銀▲4六歩△同歩▲同角△8六歩▲同歩(49手目図)と進む。

BANT004.jpg
△9四歩を活かし、棒銀に。意外に足が速い。

先手も遅れてはならじと▲4六歩以下動くが、後手の銀の足も速い。49手目図となって後手には①△8六歩▲同歩△8五歩▲同歩△7三桂(52手目図)と、②△8六同銀▲同銀△同飛▲8七歩△8二飛の攻めがある。

BANT005.jpg

①の攻め。まさしく飛角銀桂の攻め。

BANT006.jpg

②の攻め、△8二飛に▲3五歩と突いた局面。

①②ともに後手が先攻する形。上図▲3五歩の後も△8六歩▲同歩△4六角▲同銀△6四角▲5五歩△8六角▲8七歩△5九角成▲3四歩(65手目図)と激しい攻め合いに。

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▲3四歩が入り、少なくとも一方的ではない。さすがにバランスが取れている。

このように、△9四歩と▲1五歩の交換が入った形では後手が棒銀に出るのが有力で、何気ない端の突き合いが全く違った展開に繋がるところが恐ろしい。

 

(参考文献①)

将棋世界2009年12月号

(参考文献②)

最強矢倉・後手急戦と3七銀戦法 (羽生の頭脳)

最強矢倉・後手急戦と3七銀戦法 (羽生の頭脳)

  • 作者: 羽生 善治
  • 出版社/メーカー: 将棋連盟
  • 発売日: 1993/01
  • メディア: 単行本

 


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