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プロの寄せを堪能 [矢倉中飛車]

本日放送されたNHK杯戦;小林(裕)六段-島九段の両先生の対局より。

後手の島先生が矢倉中飛車から自陣を顧みない攻めを決行、小林先生も▲5四歩(実際は疑問手だった)と強気に対抗、なんとも激しい展開に。局面は進んで52手目、後手が△6七銀成とした局面。

BANT001.jpg

▲6七同金以下どう進展するかと思いながら見ていたが・・・

ここからの進展が驚きの連続であった。

▲6七同金の一手と思いきや、先手はなんとこの成銀を放置して▲8六角(53手目図)と出たのである。

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鋭く厳しい狙い。しかしこのタイミングで・・・ 

▲8六角自体の狙いはわかる。しかし成銀を放置してここで出るとは!これには解説の山崎七段もびっくり。以下△7八成銀▲同玉となると▲5三桂も見えており、後手陣も相当危ない。後手がどこまで素早く迫れるか、と思って見ていたが・・・

後手の指し手は取れる金を取らずに△5八歩成(54手目図)!

BANT003.jpg

まさしく終盤。駒の損得より速度である。

△5八歩成。最近対局自体してないし、勘が鈍っているとはいえ見た瞬間、この手の狙いがわからなかった。失礼ながら失着かと思ったほど思いつかない一手であった。だが▲6七金と成銀を取った手に対する次の一手を見てなるほどと感心したのである。

次の一手は△5六銀(56手目図)! 

BANT004.jpg

指されるまで全く気づかなかった。俺も堕ちたものだ。

△5六銀。もはや解説の必要も無い。以下▲5八飛△6七銀成▲5三歩成と進んで59手目図。

BANT005.jpg

いよいよ後手陣にも火がついたが・・・

△5八成銀で後手玉が詰まなければ勝ちなのだが、▲4二銀打以下王手が続いて相当危ない。かといって△8八金の王手も▲6九玉で捕まらない。観戦中はここから後手がどのように進めるのかわからなかったのだが、次の一手、いやここからの手順もさすがはプロだった。

次の一手は△7八金(60手目図)。指されてみればなるほど、という手である。

BANT006.jpg

以下▲同飛△同成銀▲5八玉?

▲7八同飛の一手に△8八金(62手目図)が継続手。

BANT007.jpg

一気の寄せ。

なんと、先手玉は詰んでいた。△8八金以下▲6九玉△7八成銀▲5九玉△5七飛▲4八玉△5八飛成(68手目図)までで先手投了。

BANT008.jpg
以下▲3九玉に△6六角まで。鮮やか過ぎる。

先手の▲8六角(上述通り、この手自体驚きのタイミングで指されている)の狙いを後手がさらに上回る速度で寄せ切った。本記事、標題にプロの寄せと書いており、高段者ならわかるレヴェルじゃねえか、と言われるかもしれないが、持ち時間の少ない将棋でのこの踏み込みはさすがだと思う。

いやー、堪能させていただきました、ほんとに。


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