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矢倉3七銀戦法;現在の主流②(その2) [矢倉▲3七銀]

さて、▲9八香に対し△4二銀とする順をもう少し現実的に(先回も現実的だけど)。

△4二銀▲9九玉△6四角に対しては、▲2五歩や▲5八飛ではなく、すぐに▲6五歩(49手目図)が最も多く指されている。

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直接手で後手の応手を聞く。

いつか△9七角成なんて手は指されないだろうか・・・

▲6五歩に対して△5三角と引く形もなかなかだが、それは▲5五歩△同歩▲同銀△5四歩に▲6六銀(55手目図)と引く好形を許してしまう。

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先手陣が手厚い。

従って▲6五歩には△7三角と引くことになるが、次に△6四歩があるので先手もゆっくりとは出来ない。そこで▲2五桂(51手目図)と攻めの方針を採る。結局こうなるのであれば、▲9八香以下穴熊を目指さずに単に▲2五桂と跳ねる順とどこで違いが出てくるのだろうか、という疑問も生じてくる。

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▲6五歩と突いた以上、ゆっくりとは出来ない。

▲2五桂の局面、後手も大きな分岐点を迎えている。△9五歩の待機か、△4五歩、もしくは△3三桂の開戦か。考えられる後手の応手はこの3通り。

先ずは△9五歩の待機から。△9五歩に対しては先手は攻める。△9五歩以下▲5五歩△同歩(△4五歩は後述)▲3五歩(55手目図)。これまでにも見て来た、お馴染みの手順であるが、いい機会なので比較的詳しく見ていく。

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△9五歩の待機には攻める。

▲3五歩に対し△3五同歩なら、▲1五歩△同歩▲3五銀△同銀▲同角(63手目図)で、次に▲1三歩~▲1二銀の攻めを見て先手よし。

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お馴染みの成功図。次に▲1三歩~▲1二銀が露骨ながら厳しい。

55手目▲3五歩の局面、素直に同歩では拙いので後手は△4五歩と刺し違える。以下▲4五同銀△3五歩に▲1五歩(59手目図)と突いて攻めを継続。

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一見、△4四歩と銀を殺されて先手失敗のようだが・・・

類似形において、▲4五同銀に△3五歩ではなく△3五銀と取る手も指されているが、この場合は△3五銀に▲1五歩△同歩▲1三歩(61手目図)と端を攻め、次の▲1五香が厳しく先手よし。

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ここでの△3五銀は端を攻められて後手が拙い。

▲4五同銀に△3五歩と取った局面に戻る。先手の銀が進退窮まったところで▲1五歩と突いた59手目の局面、後手に△4四歩と打たれ先手失敗したように思える。ちなみにこの▲1五歩に△同歩と応じるのは▲7五歩△同歩▲7四歩△6二角▲4六角△4四歩▲5五角△9二飛▲8八銀(69手目図)で先手よしとなる。

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最後の▲8八銀が好手。

こう進んでは拙い。▲1五歩に対する後手の第一感、△4四歩はどうか。これで受け切れれば先手失敗と簡単に結論付けられるが・・・△4四歩以下▲1四歩△4五歩▲1三歩成△同桂▲同桂成△同香▲1四歩△同香▲同香△1三歩▲2五歩△同銀▲1三香成△同玉▲3五角と進んで75手目図。

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先手よし。

銀を殺され、歩を取り込む。以下は一直線とも言うべき手順を辿るが、75手目図まで進んでみると銀損ながら先手よし。以下△2二玉には▲7一角成△8四飛▲4四香で先手十分だろう。

△9五歩の待機に対し直ちに▲5五歩と仕掛けた局面、後手には上述の△5五同歩の他に、このタイミングでも△4五歩(54手目図)と突く手が考えられる。

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ここで突き違い。▲4五同銀に△5五歩なら▲3五歩で上述の変化に戻る。

△4五歩には▲同銀の一手。これに対し△5五歩と取るのは▲3五歩で上述の変化に戻るので後手は△5五角と取るが、そこで強く▲4六角(57手目図)とぶつけるのがわかりやすいようだ。

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あくまで強く指す。

尚、この▲4六角のところ▲4六歩と突いた手が類似局で指されており、これもやわらかい展開で魅力的だが、勝負を争う場面では悠長な考えだろうか。▲4六角以下△同角▲同歩△4四歩▲同銀△同金▲7一角△5五角と進んで64手目図。

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どちらが読み勝っているか。

▲7一角の両取を△5五角と受けられた局面。お互い読み筋と言わんばかりの応酬だが、最終的によくなるのはどちらか。次の一手がまた先手の分岐点。まず最初に▲6六銀は△7二飛▲5五銀△同金▲6二角成△同飛▲4四角△3三銀打▲6二角成△8六歩(下図)となり、先手がよさそうにも見えるが難解。

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アクロバティックに技を決めたかのようで結果は後手陣は厚く先手陣は薄い。

△5五角に対し、平凡に▲5六歩はどうか。以下△7二飛▲5五歩△7一飛▲6二角△5三角▲7一角成△同角▲6四歩△同歩▲6一飛△6二角打(下図)となり、これも難解。

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後手懸命の受け。これも簡単ではない。

では△5五角に対し単に▲8二角成はどうか。以下△同角▲5三歩△同銀▲5一飛と進んで下図。

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▲5三歩の軽手が利く。

単純に▲8二角成と飛を取ってしまうのは、この瞬間、銀損なので最も指しにくい(逆に初心者なら最初に飛びつく)順なのだが、この場合はこれが正解。▲5三歩の軽手から▲5一飛と打ち込み、攻めが繋がっている。

以上、非常に長くなった(のでこれで終わりにする)が、▲2五桂に対し△9五歩と待機する順は難解ながらも先手が指せるようだ。次回▲2五桂に対する△4五歩を見る。

 

(参考文献;将棋世界誌2011年1月号)


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